合成ダイヤモンドを正しく理解していただくために <第1弾>
2018-11-06
「合成ダイヤモンドを正しく理解していただくために」
<合成ダイヤモンドとは>
天然ダイヤモンドは地球の深部において何億年という歳月にわたる地質学的プロセスを経て生まれた結晶です。その美しさと希少性から宝石として長く人々に愛されてきました。
いっぽうで、合成ダイヤモンドは天然ではなく、人工的に研究室や製造所で作られた結晶です。合成ダイヤモンドは化学成分や結晶構造は天然ダイヤモンドと基本的に同じで、光学的・物理的特性も同一です。
合成ダイヤモンドは、その硬さや熱伝導性などの優れた性質と品質の安定性ゆえに工業的に幅広く利用されてきました。そして、近年では工業利用されてきた合成ダイヤモンドの需給バランスの変動や単結晶育成技術の革新的進歩により、合成ダイヤモンドが宝飾市場に展開されるようになりました。
宝飾用合成ダイヤモンドの製造法には地球内部の高温高圧を模した高温高圧(HPHT)法と化学反応を利用した化学気相蒸着(CVD)法があります。両者ともに現在では大粒で高品質の単結晶を数日~数週間で量産することが可能で、現在多くの製造者が存在しています。
<合成ダイヤモンドの用語について>
この合成ダイヤモンドの用語使用について、2018年1月22日付で国際的なガイドラインが示されています。
この声明にはCIBJOやWFDBなど世界の主要なダイヤモンド産業の組織が加わっており、合成ダイヤモンドについて言及する場合は “synthetic”, “laboratory-grown”, “laboratory-created” のみを使用するものとし、“lab-grown” や “lab-created” などの略語を用いてはならないとしています。
日本国内では1994年に日本ジュエリー協会と宝石鑑別団体協議会の両団体が制定した「宝石もしくは装飾用に供される物質の定義および命名法」において人工生産物の呼称について定義しています。
これによると、同種の天然石が存在する人工生産物は「合成石」であり、人工的に製造されたダイヤモンドは合成ダイヤモンドと呼称します。また、天然に対応物が存在しない人工結晶は「人造石」であり、キュービックジルコニアは人造キュービックジルコニアと呼ばれます。
Q and A
Q. 合成ダイヤモンドは偽物ですか?
A. 偽物ではありませんが、天然ダイヤモンドでもありません。人工的に製造されたダイヤモンドです。
Q. 「ラボ・グロウンダイヤモンド」とは何ですか?
A. ラボ(laboratory:研究所、製造所)でグロウン(grown:成長した)ダイヤモンド。すなわち合成ダイヤモンドのことです。
Q. 合成ダイヤモンドは識別できますか?
A. 識別できます。しかし、光学的・物理的特性は天然と同じですので見た目での判別は不可能です。多くの場合鑑別機関での検査が必要となります。
Q. 合成ダイヤモンドに価値はないのですか?
A. それは個人の感性によります。合成ダイヤモンドについてよく理解して選択してください。